最新記事
宇宙

フラワームーン、みずがめ座η流星群、数々の惑星...2025年5月の天体イベント

What's Visible in Night Sky May 2025 - Flower Moon, Meteors, Saturn Returns

2025年4月29日(火)10時40分
レイチェル・オコナー
5月の夜空を見上げよう──フラワームーン、流星群、惑星が織りなす宇宙のドラマ(画像はイメージです) Kashif Afridi-Unsplash

5月の夜空を見上げよう──フラワームーン、流星群、惑星が織りなす宇宙のドラマ(画像はイメージです) Kashif Afridi-Unsplash

<5月、夜空は天文ファンにとって夢の舞台となる。春を告げる満月「フラワームーン」、ハレー彗星に由来する「みずがめ座η流星群」、そして火星や金星、土星など惑星たちの共演が、夜空を華やかに彩るだろう>

来たる5月には、天文ファンたちが楽しみにしているいくつかの天文現象が展開される。

4月には「こと座流星群」が出現し、ピーク時には1時間に10〜15個の流星が空を横切り、光を放った。だが続く5月には、さらに多くの天体ショーが控えている。

5月の満月は、春の盛りを告げるものだ。さらに5月5日には、4月の「こと座流星群」よりもより激しい流星群がピークを迎える。また、火星や土星を含む、いくつかの惑星が夜空を彩るだろう。

それでは、2025年5月に、アメリカの夜空で目にできる天体ショーを説明していこう。

フラワームーン

5月12日には、「フラワームーン」と呼ばれる5月の満月が夜空を彩る。この月は、「コーンプランティング(とうもろこしを植える)ムーン」「ミルク・ムーン」「ヘア(野うさぎ)ムーン」など、多くの別名を持っている。

フラワームーンは明るい満月で、その名前は、1年のこの時期に開花する多くの花にちなんだものだ。ちょうどこの時期に、北半球は春のピークを迎え、6月の夏至に向かっていく。

コネチカット・カレッジ教授で天文学者のアレックス・ジャンニアスは、本誌にこう解説した。「フラワームーンは、(アメリカ時間の)5月12日朝に満月状態になる。ご推察どおり、この名前は、1年のこの時期に咲き誇る花々にちなんだものだ」

「とはいえ、アメリカ先住民が5月の満月につけた名前には、『エッグ・レイイング(卵を産む)ムーン』や『プランティング(作物を植える)ムーン』などもある」

フラワームーンは、毎年5月の満月の際に生じるが、その日付はそれぞれの年で異なる。2024年のフラワームーンは5月23日で、前後の約3日間は、見かけ上は満月のような姿だった。

農事暦『ファーマーズ・アルマナック』によると、2025年はアメリカでは東部夏時間5月12日12時56分に完全な満月になる。これは、イギリス時間では17時56分にあたる時刻だ(日本では5月13日1時56分)。

みずがめ座η(エータ)流星群の到来

4月20日から5月21日にかけて、みずがめ座η(エータ)流星群が地球に接近し、5月4日夜から5月5日、さらに5月6日の朝にかけてピークを迎えると、ジャンニアスは本誌に解説した(日本時間では6日〜7日の夜明け前)。

このみずがめ座η流星群の母体は、ハレー彗星が残す塵(ちり)や岩の破片だ。ハレー彗星は、76年をかけて太陽の周りを回っている。地球上で最後に観測されたのは1986年で、2061年まで内太陽系(太陽系のうち小惑星帯より内側の部分)に入ってくることはない。

それでも、地球は毎年、ハレー彗星の尾が残すデブリの中を通過するため、ピーク時には1時間に約50個の流星が観測されることもある。その一部は夜空に光の筋を残し、その光は流星が通り過ぎたあと、数秒から数分にわたって残ることもある。

ジャンニアスは、こう解説する。「流星群は一般的に言うと、地球が公転軌道をめぐる中で、彗星が通った後に残された塵の中を通過する時に起きる。小さな岩のかけらや塵は、地球大気に突入する際に、摩擦熱によって燃え上がる。地上にいる私たちはそれらを、空に光の筋を残す流星、つまり流れ星として見ることになる」

ジャンニアスは、さらにこう付け加えた。「(みずがめ座η流星群を)観察するのであれば南半球がベストポジションだが、北半球からでも、朝3時から日の出までの時間帯に、みずがめ座のある南東に目を向ければ観測が可能だ」

北半球から観測する場合は、光害の発生源からはるかに離れた環境であれば、うまくいけば1時間に約10個の流星が、地平線をかすめるように見えるはずだ。アメリカ航空宇宙局(NASA)では、足を東側に向けた体制で仰向けに寝転び、上を見ることで、できるだけ広い範囲の空が見られるようになると勧めている。

この流星群は、アメリカでは5月6日の明け方まで、一晩中続くはずだ。

空を彩る数々の惑星

天文ファンたちは、5月1日の火星を皮切りに、太陽系に存在するさまざまな惑星を垣間見ることができる。

5月6日までの数日間、昼夜にわたって、火星がかに座のプレセペ星団に接近・通過する。さらに5月3日には、ここに月が加わる。

ファーマーズ・アルマナックによると、火星は5月末に再び輝きのピークを迎え、5月31日の日没前後の時間帯には西の空に見えるという。これはしし座の領域で、三日月のちょうど上に見えるとのことだ。

ジャンニアスによると、惑星が織りなす天体ショーはこれだけではない。「日没後には、ほぼ真西の方角に木星と火星を見ることができる。だが、どちらもすぐに地平線に隠されてしまうだろう。一方、夜明けの直前には、東の空で金星と土星を観測できるはずだ」

(翻訳:ガリレオ)

ニューズウィーク日本版 コメ高騰の真犯人
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年6月24日号(6月17日発売)は「コメ高騰の真犯人」特集。なぜコメの価格は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル/円3週ぶり高値、中東への米関与

ビジネス

利下げ急がず、関税リスク無視できず=米リッチモンド

ワールド

プーチン氏「ウクライナ全土がロシアのもの」、スムイ

ワールド

英下院、安楽死容認法案を可決 法制化に向け上院審議
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 2
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「過剰な20万トン」でコメの値段はこう変わる
  • 3
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 4
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 5
    全ての生物は「光」を放っていることが判明...死ねば…
  • 6
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 7
    マスクが「時代遅れ」と呼んだ有人戦闘機F-35は、イ…
  • 8
    「巨大キノコ雲」が空を覆う瞬間...レウォトビ火山の…
  • 9
    「まさかの敗北」ロシアの消耗とプーチンの誤算...プ…
  • 10
    「アメリカにディズニー旅行」は夢のまた夢?...ディ…
  • 1
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 2
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 7
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 8
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?.…
  • 9
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火.…
  • 10
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 5
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 6
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 7
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中